♯1大工のてしごと 「墨付け編」

現場通信

 今回は、日本の伝統的な木造建築において、木材加工の最初の重要な作業である「墨付け(すみつけ)」について、お伝えします。

墨付けとは?

木材を加工する前に、どこをどのように切るか、穴を開けるかといった情報を、墨を使って木材に直接書き込む作業のことです。

一本一本の木材に正確な墨付けを行うことで、部材同士がぴったりと組み合い、頑丈で美しい構造物が生まれます。

昔の職人さんは、この墨付けを長年の経験と知識で行っていました。

墨付けに必要な道具たち

墨付けには、いくつかの専用の道具を使います。それぞれの道具が、正確な墨付けを行う上で欠かせない役割を持っています。

  • 墨壺(すみつぼ): 墨を含ませた糸を巻き取っておく道具です。糸を木材にピンと張り、指で弾くことで、一直線の墨線を引くことができます。
  • 墨差し(すみさし): 墨を木材に書き込むための筆のような道具です。細い線や太い線、点などを描き分けることができます。
  • 差し金(さしがね): L字型の金属製の定規で、直角を測ったり、平行線を引いたり、長さを測ったりと、様々な用途で使われます。

これらの道具を使いこなすことも、墨付けの重要な要素の一つです。

墨付けの奥深さ、そして未来へ

墨付けは、単に線を引くだけの作業ではありません。木材の性質やクセを見抜き、仕上がりの美しさを考慮しながら、最適な墨付けを行うには、熟練の技と経験が必要です。

近年では、デジタル技術も進化しています。それらの技術とともに、職人さんの手によって一本一本丁寧に墨付けされた木材は、その後の加工を経て、何十年、何百年と人々の暮らしを支える建物へと姿を変えていくのです。

墨付けの様子を動画でチェック!

より深く墨付けの世界を知りたい方は、ぜひ下の画像をご覧ください。職人さんの熟練の技を見ることができますよ。

いかがでしたでしょうか? 今回は、木材加工の入り口であり、奥深い世界を持つ「墨付け」について解説しました。

それでは、次回もお楽しみに!

 

 

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